リッジプリザベーションとは

抜歯後の骨を守るリッジプリザベーション

インプラント治療を将来検討している場合、治療計画はインプラントを入れる時からではなく、歯を抜く時から始まっています。 

歯を抜いた後、その歯を支えていた歯槽骨は、治癒する過程で少しずつ吸収され、骨の幅や高さが変化します。

抜歯後に骨が大きく減少すると、以下のような可能性が出てきます。

  • インプラントを理想的な位置に入れにくくなる
  • GBRなどの骨造成が必要になる
  • 前歯部の歯ぐきがへこみ、見た目に影響する
  • 治療期間や身体的負担が増える 

将来のインプラント治療を見据え、抜歯と同時に骨の形をできるだけ維持する処置が「リッジプリザベーション」です。

 


歯を抜くと歯槽骨はどのように変化するのでしょうか

歯を支えている骨の一部は、歯根膜を介して歯と結びついています。そのため、歯を抜くと骨の役割が変わり、抜歯窩の治癒に伴って歯槽骨の吸収と改造が起こります。

研究では、抜歯後の骨吸収は、骨の高さよりも水平方向の骨幅に大きく生じる傾向が報告されています。

報告されている変化の目安は、次のとおりです。

  • 水平的な骨幅の減少:約2.6~4.5mm
  • 垂直的な骨の高さの減少:約0.4~3.9mm
  • 抜歯後3か月以内に大きな形態変化が起こる
  • 12か月間に起こる変化の約3分の2が、最初の3か月に生じるとの報告がある
  • 12か月で歯槽堤の幅が50%以上減少する場合がある

ただし、これらの数値はすべての患者さまに同じように起こるという意味ではありません。骨吸収の程度は、抜歯する部位や骨の厚み、歯周病の状態、抜歯方法などによって異なります。


抜歯後の骨吸収に影響する主な要因

抜歯後にどの程度骨が減少するかは、次のような条件に影響されます。

  • 頬側の骨に裂開や欠損があるか
  • 頬側骨が薄いか
  • 歯周病や感染によって骨が失われているか
  • 周囲の骨を傷つけずに抜歯できるか
  • 歯ぐきを切開するフラップ手術を行うか
  • 1本の抜歯か、複数の歯を連続して抜歯するか
  • 前歯部か臼歯部か
  • 喫煙や糖尿病など、治癒に影響する要因があるか

特に前歯部は頬側骨が薄いことが多く、抜歯後の骨や歯ぐきの変化が見た目に影響しやすい部位です。


リッジプリザベーションとは

リッジプリザベーションは、日本語で「歯槽堤保存術」または「抜歯窩保存術」と呼ばれます。

歯を抜いた直後の抜歯窩に骨補填材などを填入し、必要に応じてメンブレンやコラーゲン材料で保護することで、抜歯後に起こる骨の幅や高さの減少をできるだけ抑えることを目的とした処置です。

リッジプリザベーションを行っても、抜歯後の骨吸収を完全に止めることはできません。

しかし、抜歯後に自然治癒だけで経過をみた場合と比較して、歯槽堤の幅や高さを維持しやすくし、将来のインプラント治療に必要な骨量を残せる可能性があります。


リッジプリザベーションを行う主な目的

1.インプラントを適切な位置に入れるため

インプラントは、骨が残っている場所ならどこに入れてもよいわけではありません。

最終的な歯の位置や噛み合わせを考え、適切な位置・角度・深さにインプラントを埋入する必要があります。

抜歯後の骨吸収をできるだけ抑えることで、補綴設計に適した位置へインプラントを埋入しやすくなります。

 

2.将来の骨造成を小さくできる可能性がある

抜歯後に骨が大きく減少すると、インプラント治療時にGBRなどの骨造成が必要になることがあります。

抜歯時にリッジプリザベーションを行うことで、将来必要となる骨造成の範囲や治療の負担を小さくできる可能性があります。

ただし、抜歯前から骨欠損が大きい場合には、リッジプリザベーションを行っても追加の骨造成が必要になることがあります。

 

3.前歯部の歯ぐきの形を維持するため

前歯部では、歯の白さや形だけでなく、歯ぐきの高さ、厚み、左右のバランスが見た目に大きく影響します。

抜歯後に頬側の骨が吸収すると、歯ぐきが内側にへこんだり、歯が長く見えたりする場合があります。

審美性が重要な前歯部では、抜歯時から骨と歯ぐきの形態を考えて治療することが重要です。

 


リッジプリザベーションの一般的な流れ

1.抜歯前の診査・診断

レントゲンや歯科用CTを用いて、歯根の形、頬側骨の厚み、骨欠損、感染の範囲などを確認します。

2.周囲の骨をできるだけ傷つけない抜歯

専用器具などを使用し、周囲の骨や歯ぐきを可能な範囲で保存しながら抜歯します。

3.抜歯窩の清掃

抜歯窩に残った感染組織や炎症性組織を除去します。

4.骨補填材の填入

症例に適した骨補填材を抜歯窩に填入します。

5.抜歯窩の保護と縫合

必要に応じてメンブレンやコラーゲン材料などで保護し、縫合します。

6.治癒後の再評価

一定の治癒期間を置いた後、CTなどで骨の状態を再評価し、インプラント治療の時期や方法を決定します。

使用する材料や治癒期間は、抜歯部位、骨欠損の程度、感染の有無、予定するインプラント治療によって異なります。


リッジプリザベーションが検討されるケース

次のような場合には、リッジプリザベーションを検討することがあります。

  • 抜歯後にインプラント治療を予定している
  • 抜歯と同時にインプラントを入れることが難しい
  • 前歯部など、見た目が重要な部位を抜歯する
  • 頬側の骨が薄い
  • 抜歯前から骨の一部が失われている
  • インプラント治療まで一定期間を空ける必要がある
  • 将来の骨造成をできるだけ小さくしたい

ただし、すべての抜歯部位に必要な処置ではありません。抜歯後の治療方法や骨の状態を確認したうえで、適応を判断します。


リッジプリザベーションの限界と注意点

リッジプリザベーションは、抜歯前の骨を完全に元の状態のまま保存する処置ではありません。

処置後にも一定の骨吸収は起こるため、インプラント治療時に追加のGBRなどが必要になることがあります。

また、一般的な外科処置と同様に、次のような症状やリスクがあります。

  • 術後の痛みや腫れ
  • 出血
  • 感染
  • 傷口の開き
  • 骨補填材や保護材料の露出
  • 骨補填材の一部流出
  • 十分な骨量を確保できない可能性

治療方法、使用材料、費用、治癒期間について説明を受け、十分に理解したうえで処置を受けることが大切です。


抜歯が決まる前にご相談ください

リッジプリザベーションは、骨が吸収してから元に戻す治療ではなく、抜歯する時点で将来の骨量をできるだけ守るための処置です。

すでに抜歯を終えて骨が大きく減少している場合には、リッジプリザベーションではなく、GBRなどの骨造成が必要になることがあります。

  • 歯を抜く必要があると言われた
  • 抜歯後にインプラントを考えている
  • 骨が少ないと言われた
  • 前歯の見た目をできるだけ守りたい
  • 抜歯とインプラントの治療計画を相談したい

上記に該当する方は、抜歯を行う前に、インプラント治療まで含めた診査・診断を受けることが重要です。

「沼津・三島インプラント情報」では、沼津市・三島市・長泉町・清水町・函南町・伊豆の国市など、静岡県東部でインプラント治療を検討している方に、抜歯前から知っておきたい治療情報を提供しています。

提携医院では、歯科用CTを用いて骨の状態を確認し、抜歯、リッジプリザベーション、骨造成、インプラント埋入までを総合的に診断します。